• Takahiro Koike

お父さまのオーダーイラスト

更新日:4月29日


写真の代わりにイラストを飾りたいというオーダーをいただきました。


「描いていただくのは、一昨年に亡くなった私の父です。写真ではリアルすぎて悲しいので、小池さんの明るい色調のイラストで描いていただけたらうれしいです」



裁判所で働いていたお父さまは、仕事と同じくらい畑仕事にも勤しんでいたそう。丹精込めて世話をしたみかんの木を隣に描きます。


「父にとって畑仕事は趣味というより、人生の大切な一部分だったと思います。自分の努力ではどうにもならないことと折り合いをつけるための作業であり、時間だったのだと。広い空の下、澄んだ空気を吸って、ただ黙々と手を、体を使うことで気持ちを立て直していたのだと」


そんなお父さまにお贈りするメッセージは「You Are Always In Our Heart」。「あなたはいつも私たちの心の中にいます。私たちはいつもあなたのことを思っています」という意味です。


お父さまのお墓は、海越しに富士山が見える場所。そこから見える風景と、海岸で家族4人が楽しそうに遊んでいる幼い頃のシルエットを描きました。


メッセージの下には、幼い頃お父さまが仕事帰りによく買ってきてくれたロールケーキも。「薄いパイ生地に包まれていて、クリームに栗のツブツブが入っていて、とてもおいしいのです。私が喜んだので、その後ことあるごとに買って来てくれました。私が結婚した後も、よくお土産に持たせてくれました」


みかん、茶畑、富士山、ロールケーキという、子どもの頃から現在に至るお父さまとの思いでを一枚の絵に。


依頼主の方は埼玉にお住まいで、雑誌『栄養と料理』の連載「親と私の選択のとき」『婦人之友』の愛読者で、奥さんの著書のファンで、Voicyの良きリスナーでもあります。


もしよろしければ、うちに取りに来ていただくか、ご自宅までお届けしてもいいですよと気軽にお伝えすると、「夢みたーい!あのお庭から見た縁側を自分の目で見られるの!?と舞い上がっております。というわけで、取りに伺わせてください」。


うちで完成したイラストとご対面です!


箱を開けて保護シートをはがします。絵の中のお父さまとお会いすると、しみじみと涙を流して喜んでくださいました。目の前で感動するお姿を拝見し、絵描きとしてこれほどうれしいことはありません…。今後も機会があれば、できるだけ直接作品をお渡ししたいと、あらためて思いました。



後日いただいたお手紙には、「お父さんの優しい感じがよく出てる!」「おじいちゃんが若くて元気そうでうれしい!」と、ご家族の方々にも大好評のようです。


紙は手触り感のある凹凸のあるものを選び、自然を愛するお父さまをイメージして、木製のフレームをチョイス。思いを込めて描いたイラストが、依頼主の方にしっかりと伝わって本当によかったです。これからも大切に飾っていただけたらうれしいです! このたびはありがとうございました。