• Nao Ogawa

受け継ぐ美しさ

更新日:4月5日



今日は娘の入学式です。 卒業式の日に自分が何を着ようかと考えていたときに、エルメスのスカーフに助けられ、

名品として愛され続ける理由を自分なりに納得した、という話を

数週間前のnoteに書きました。→ note その記事のなかに、救世主となったエルメスのグレーのスカーフもちらりと写真を載せましたが、

他にもエルメスのスカーフは持っていて、今日は卒業式とは別の一枚を身に着けることにします。 それが上の写真のスカーフ。 「PAVOIS(船旗)」というデザインで、色は淡いレモンイエロー。 実はこちら、結婚して最初の母の日のプレゼントに、わたしから義母に贈ったものでした。 たしか渋谷東急本店のエルメスで夫と一緒に選んだのでしたっけ。 当時はまだ義父も元気で、帰省したときにみんなでホテルに食事に行ったりするときに

義母が身につけてくれていた思い出があります。 3年前にこちらの高齢者住宅に引っ越してくれることになった際、 わたしが義母のタンスの中身の荷造り作業をしていたらこれを見つけて、 「お義母さん、これ持っていく?」と聞くと、少し戸惑うような表情になって、その後、 申し訳なさそうに「わたし、もうそれは使わないわ。奈緒さんに返すから、使ってちょうだい」

と言ったのでした。 わたしも尋ねてはみたものの、そんな返事がくるような予感もどこかでしていたので 「わかった。じゃあ、いただくね」と、10年以上前に義母のために自分が選んだスカーフを、

今度は義母から譲り受けたのでした。

他にも、自分の母から譲り受けたエルメスのスカーフもあり、そちらも日常的に使っています。 譲ってくれた理由は、もう身に着ける機会がないから、とか、

色柄が少し派手に感じる、といったことですが、

義母も母もありがたいことに元気なわけだし、譲り受けたエルメスをわたしが使うときに

とくに感傷を抱きながらということはなく、 今すぐ役立つファッションアイテムをもらったことを素直に喜んでいます。 これってすごいことだと思うし、バトンとして理想的だとも思う。

買うときは「素敵なんだけれど、ここまで高価でなくてもなぁ……」と正直思うけれど、

のちのち誰かに譲ったときに喜んでもらえるなら、

やはり価格分の価値はある、といえるのでしょう。

そして、そんなにも長い年月に渡って使い続けられるなら、 結局はむやみに高いというわけでもないのです。

何十年も前に発表されたデザインでも、こんなにも胸がときめくエルメスのスカーフって

なんて素晴らしいのだろう、と最近つくづく感じていたところに、

竹宮恵子さんがマンガでエルメスの歴史を伝えてくれる『エルメスの道』が

24年ぶりに新装版として発売され、さっそく読みました。 これがもう本当におもしろくて、夢中で一気読み。 とくに、今あらためて魅了されているエルメスのスカーフ「カレ」については 気の遠くなるような工程が、とても細かく具体的に紹介されていて、 このスカーフを前にするとなぜこれほど胸が躍るのか、よくわかりました。

そして、なぜこれほど高価なのかという謎も解けます(笑)。 最近は、中学受験に関する本やネット記事を読まなくなったぶん、

純粋な楽しみとしての読書の時間が戻ってきて、それがなによりうれしい。 今日から娘の中学校生活がはじまって、わたしの時間の使い方も変化するだろうし、

いよいよ家族が新しいステージに移っていくのかもしれません。

そんな船出の日に、船旗の柄のスカーフを巻けるなんて、ちょっといいかも。

……といった小さなときめきを感じられるのも、

一枚一枚に物語が息づく、このスカーフならでは、でしょうか。