映画を観て1週間経っても、感動が続いています。ディヴィッド・バーンは学生の頃から追っかけてきて、2009年の来日コンサートでは全員がお揃いでない白の衣装で、モダンなダンスと演奏を披露してくれました。
今回はグレーのスーツに身を包む全員が裸足! 生演奏をしながら(ドラムはスネアやタム、シンバルなどが、各パートごとに分かれている!)、ステージを自在に動き回ります(アンプやモニターなどの機材は、見える所にナシ)。性別、人種、国籍を超えたメンバーたちのキレの良いパフォーマンスは、まさに「阿吽(あうん)」の呼吸。あれから10年を経て、さらに精度を上げたディヴィッド・バーンは、現在69歳。(動きにムダがなく、声量も変わらず、何より体幹がいい!)
曲間にはジェンダー、移民、気候、人種差別、選挙など、人類が抱えるさまざまな問題を、クールに(時に熱く!)上質なユーモアを交えて語るバーンの姿は、会場にいる観客はもちろん、映画を観るぼくらの心を同時にわし掴みにします。さらに感動したのが、歌詞の素晴らしさ(矢部太郎さんもラジオで絶賛していました)。字幕で歌詞を読んでいるうちに、立ち上がって踊り、拍手を送りたくなる衝動を必死に抑える自分がいました。(音の出ない拍手を何度も送った)
ぼくが映画に求めるものは、観終わった後と観る前の世界が違って見えること。映画を観た後、新しい自分になれるかどうか、です。人類に降りかかるさまざまな問題をスマートに、バランス良く導き出すこと。この映画が多くのメッセージを問いかけるのは、スパイク・リーが監督をしていることも大きいでしょう。
そしてラスト。完璧なパフォーマンスを終え、疲れた様子を一切見せず、会場から自転車でNYのブロードウェイを意気揚々と疾走するバーンとメンバーたちの姿に猛烈に感動し、ぼくは身体と頭を同時に鍛えて、軽やかになりたいと思いました。(バーンは無類の自転車好きで知られ、自転車で世界中を旅した著作もある)
映画の感動を自宅で味わおうと探したところ、なぜかこれだけ…。そっかー! 1年前の今ごろ、大量のレコードがカビの被害にあい、夏にタイヘンな思いをして虫干し&整理をしたことを思い出しました。(→ BLOG) あの時、トーキング・ヘッズのLPやバーンのはCDは、泣く泣く手放してしまったんだ…あぁ~。でも大丈夫。頭の中はいつでも音楽を鳴らすことができますから(キッパリ)。
何も難しくないし、ただリズムは気持ちいいし、ヘンテコダンスは底抜けに楽しいし、メンバーの表情はめちゃ素敵だし、最高にパワフルでかっこいい。撮影は2019年。だから何倍も響いてくるし、何度見ても心が動かされてしまう、そんな感覚的な映画です。近くの劇場でやっていていたら、もうぜひ!
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