
ファッションの街として知られる表参道。それまでの飲食の仕事から一転、新雑誌の編集を始めた矢先、ナント雑誌が急に廃刊になってしまい、路頭に迷った編集部の2人と共に独立して、3人で細々と事務所を構えたのが、ここ表参道でした。30代前半だったぼくは、とにかく来るもの拒まず仕事を受け続け、すべてが初めてのことだらけのため失敗も多々。きらびやかに街を闊歩する人々を眺める余裕もなく、重たい資料とPCをパンパンにリュックに詰めこんで毎日事務所に通ったものです。
やがて、ライターやカメラマン、編集者、スタイリストなど、フリーランスの人たちが頻繁に出入りするようになると、互いの仕事を手分けしたり、情報を交換したり、一緒に食事をして夢を語り、仮眠をとりながら朝まで原稿を書いたり…。表参道にいながらおしゃれとは程遠い日々でしたが、何かをつかむためのやる気と活気に満ちあふれていました。個人で少しずつ仕事がもらえるようになると、事務所に通わずに自宅で仕事をするようになりました。当時の仲間たちは今、自分に合った居場所や家族を見つけ、多方面で活躍しています。

先日取材で訪れたこの街で、ぼくを出迎えてくれたのが山陽堂書店の谷内六郎さんの壁画。ずっと変わらない風景です。この素朴なタイル壁画を見ると、フリーになった駆け出しの頃、暗黒から這い上がろうともがいていた自分に会えるような気分になるのです。
そんな気分で久々に聴いたらココロに沁みた、大好きなドラマの大好きな曲!
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