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執筆者の写真Nao Ogawa

1年経ってみて


先週から、中学受験マンガ『二月の勝者』のドラマ化がいよいよ放送スタートとなりましたね。 この原作のリアリティについては、以前noteでも書きましたが、あまりのリアルさゆえ、

渦中で苦しんでいる間はとてもじゃないけれどエンタメとして楽しむ余裕などなかったし

ドラマ化にしたって、放送がもし昨年だったら、いろんな理由で見られなかったと思います。

それがコロナによってドラマの制作が延期されたことで、

受験終了組となったこのタイミングで観ることができたわけですが…… いやはや、終わったからといって、笑って観ることなんてできないものなんですね、

というのがよくわかった初回放送でした。もう「あるある」だらけで。 先週も、中学受験をテーマにある取材をお受けしたのですが、

いかにあの経験が自分のなかで「きれいな思い出」として整理されていないかを再認識しました。

昨年の今ごろは……と思いだすたびに心の奥がグラングランと揺れて、 涙があふれ、喉が詰まってしまうほどなんです、いまだに。 娘の学校でも、最近は毎週のように模試や学校説明会、部活見学会などが行われており、 ちょうど先週土曜日も、その目的で訪れた小6親子に学校を案内する役を務めたそうです。 持ち前のサービス精神と得意のスマイルでおもてなしをしたそうですが、 「お父さんやお母さんはにこやかに『いいじゃない、この学校』とか話してるのが聞こえるのに、

子どもの表情がみんな暗いのよ」と。

それを聞いたわたしは、「そりゃそうだよ!今がいちばんシンドい時期じゃん! 」と

小6受験生たちを全力で弁護する側にまわりました。

すると娘も「わかってるよ。昨年の今ごろはひたすら過去問、過去問、だったよね。 今がしんどいってことがわかるから、心の中で『がんばれ』って言った」と話していました。 中学受験を通して、自分の未熟さや弱さをつくづく思い知らされたわたしですが、

それでもなんとか乗り越えてみれば、こうした親子の会話ができる日もいずれくるんだな、と ちょっとしみじみしました。 だからって、案外いいものですよ、とか、なんだかんだ言ってもやってよかったですよ、とは、 サラリとは言えないのが、わたしにとっての中学受験というものなのですが。


*写真は、iPadで読んでる『二月の勝者』のKindle版。 数日前に最新刊の13巻が発売になったばかりで、毎回家族3人で回し読みしています。

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