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  • 執筆者の写真Takahiro Koike

祝卒業 2021

更新日:2021年3月19日


今年の6年生たちは、昨年の卒業式に出席できなかったこともあり、卒業式を一度も見たことがなく、すべてが初めての体験で、練習から緊張していたのだそう。保護者は1名のみ出席のため、ぼくはやむをえず(というか、泣く泣く)自宅待機に…。


ちょうど隣の家で庭木の伐採工事が始まり、ここ数日チェーンソーの音が鳴り響いていました。卒業式当日も朝から職人さんが爆音とともに仕事を始めたため「どれくらいかかりますか?」と聞いてみると、「午前中いっぱいで終わりまっすよ!」と威勢のいい返事。卒業式は9:50~10:45なので、あちゃ~、完全に丸カブリだ…。今年は参加できない保護者のためにDVD化することになっていて、ピアノや歌が爆音にかき消されたらタイヘン。これはぼくが何とかしなきゃ!と、「1時間だけチェーンソーを休んでもらえないでしょうか…」と直談判。平謝りでお願いすると職人さんも苦笑いしながら、作業の手を休めてくれました。


換気のため窓を開放した体育館から聞こえる「卒業生入場!」という先生のアナウンスを聞いたら(自宅は小学校の2軒隣にあるのです)、いてもたってもいられなくなり急いでスーツに着替えて学校に向かうと、同じように外で静かに聞いているお父さんが。順番に呼ばれる名前を聞きながら、その子たちの顔を思い浮かべます。(1年生の時から、絵本の読み聞かせをしていたこともあり、みんなの顔と名前はほぼわかる)ただマイクの声が、通り過ぎる車のエンジンにかき消されることが多く(登り坂の上なので基本アクセルをふかしてくる)、どこか良い場所はないものかと学校の周りをウロウロすると……、


体育館に隣接する家の顔見知りのおばあちゃん(88歳)が、ちょうど洗濯ものを干しているではありませんか!「今ですね、娘が卒業式の真っ最中でして、コロナで親は1人しか参加できなくて、音だけでも聞きたいので、お庭に入って聞いてもいいでしょうか」とお願いすると、「どうぞ、どうぞ」。わっ、ラッキー!  体育館のすぐそばまで近づけるので、これで音もバッチリ聞こえ、中の様子も手に取るようにわかります。会場の外でもれてくる音を聞いていると、中高生の時にチケットが取れなかった人気コンサートで、耳をそばだてて音漏れを聴いていたのとまったく同じシチュエーションだと思いました。


「別れの言葉」や合唱の代わりに1人ずつ事前収録した歌で、一気に盛り上がる後半に差し掛かると、洗濯を終えたおばあちゃんとのよもやま話についつい花が咲き、式の音や歌はほとんど聞けませんでしたが(おばあちゃんの大きな声が体育館に届かないかと逆にヒヤヒヤ)、おばあちゃんと面白いお話がたくさんできたし、ぼくのスーツ姿もほめてくれたから、それもまた良き思い出。



式の終了時刻になったため、お礼を言って急いで学校に向かい、校庭で6年生のみんなを拍手で出迎えます。(みんなそれぞれ大人になったのが、マスク越しでもよくわかりました)先生や友だちとひとしきり撮影会をした後、保育園の同級生たちとかつて通った保育園に向かい、園長先生たちと久しぶりの再会。当時とまったく変わらない若々しい保育園の先生たちも「大きくなったね~」と本当にうれしそう。お昼は花束を持って駆けつけてくれた義父母と庭で距離をとって、持ち帰りのお寿司をいただきました。


大いに泣き笑いした感動の卒業式。(参加した奥さんが式の様子をバッチリ撮影してくれたのです!) お天気も暖かで穏やかで最高でした。


夕方になり、まだ作業をしている隣の職人さんたちに「今日は本当にありがとうございました」と、6缶パックのビールを差し入れると「あざっす!」と、3人で目を輝かせてメッチャ喜んでいました。


先生や生徒、親たちの満足した顔。義父母や隣のおばあちゃん、職人さんたちの笑顔に感謝です。目まぐるしい1日でしたが、こんなにも爽快で心地よいヘトヘト感は、きっと一生忘れないでしょう。卒業おめでとう!



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