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  • 執筆者の写真Nao Ogawa

名もなき料理

更新日:2020年7月20日


毎日ごはんをあれこれつくっていても、家族から人気があるのは案外、おしゃれでも豪華でもない、

「え、これですか?」というメニューだったりして、拍子抜けすることがあります。 もともと食いしんぼうなのにくわえて、食べ盛り育ち盛りの娘の目の色が変わり、 胃袋が底無し状態になる料理は、唐揚げを筆頭にいろいろありますが

傾向としては、いつからわたしのレパートリーに加わったのかも思い出せないような

「名もなき料理」が多いようです。 そのなかでもこれが代表格、というのが写真のメニュー。

お湯で戻してしぼった高野豆腐に切り口を入れ、その中に、鶏ひき肉、刻んだ干し椎茸や昆布、 にんじんや卵を混ぜ込んだつみれを詰め、肉の表面に片栗粉をはたいて、 油をひいたフライパンで焼き目をつけてから、 椎茸の戻し汁としょうゆ、酒、塩で味付けした煮汁をゆっくり煮含める一品。 こちら、わたしと夫と娘の間では「みーちゃん(わたしの母)の家でお正月に食べるアレ」で通っていて、

メニュー名がありません。

でも、つくった当日だけでなく、翌日や翌々日までおいしく、冷たいのもまたイケるし、 タンパク質豊富で食べごたえはあるのに重たく感じないので、暑い時期のおかずにちょうどいい。 なので、みーちゃん家ではお正月料理だけど、うちでは夏にも登場するのです。 大人は1個や1個半がちょうどよく、2個も食べるともうお腹いっぱいなのに

娘はこれを3個ペロリと平らげるのですから、オソロシイ。 この日も、1袋10個入りの高野豆腐を半分使ってつくろうと思っていたのですが

娘が「それじゃ足りない!全部入れちゃいなって!」と横からけしかけてくるので

まぁわたしの普段の料理のなかではそこそこ手がかかる方だし、 一晩でなくなるのも惜しい気がして、1袋分(高野豆腐を半分に切るので20個)つくりました。 まるで大家族やお客さんがくる日みたいな量ですが、朝や昼も1個、1/2個、とお皿に載せているうちに、

たぶん3日でなくなります。

© 2020 Nao Ogawa / Takahiro Koike

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